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オーナーのゴルフ奮闘記

ゴルフクラブの進化は幻想か? メーカーの宣伝と現実の差

ゴルフ道具の進化は本当に目を見張るものがあります。
素材、形状、設計思想・・・

確かに長年の改良は積み重ねられてきました。
しかし、最近の広告や宣伝を見ていると、「AIテクノロジー搭載」「何万人のデータを解析」「前作比10%アップ」「スィートスポット3倍」など、聞き心地のいい言葉が並びすぎていませんか?

正直、私はこの過剰ないいまわしにうんざりしています。
だって、その「AI」とか「ビッグデータ」って、いったいどんな形でクラブ設計に反映されているんでしょうか?
説明がほとんどないまま、ただ流行りの言葉として並べられているケースがあまりにも多いと感じています。

そして「前作比10%アップ」。
この10%という数字の根拠を見たこと、ありますか?
どんな条件で、どんな計測方法で?
前作の性能をどう測って、そこからどんなデータで「10%」と言っているのか。
その「基準値」を明示しないまま、後出しで都合の良い数値だけ並べる広告には、正直、説得力がありません。

ゴルフクラブの飛距離性能には、ルール上の限界があります。
反発係数も上限が決まっている以上、「10%アップ」なんて、理論的にありえません。
もし本当に毎年10%ずつ飛ぶようになっているなら、今ごろみんな300ヤード飛んでますよね(笑)。

外見的な進化も、そろそろ限界に来ているように感じます。
ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、どれも形状は完成形に近く、
「劇的に変わった」と言えるようなものは、ここ数年ほとんどありません。

プレイヤーは、みんな、実はわかっているんです。
「なにも変わっていない」ということを。
だからこそ、最近は諦めモードの人も多い。
まわりでも、「もう新しいのは買わない」という声をよく聞きます。

……でも、私はクラブを良く買う方です(笑)。

今年はドライバー、アイアンセット、シャフト数本、パター数本 笑

クラブオタク並みに道具が好きだということもありますが。
ここまで非難しておいて、なぜ買うのか?
それは、もしかしたら本当に自分が満足できる一本があるかもしれないという期待と、
そしてやっぱり、曲げたくない・飛ばしたいという欲があるからなんですよね。

この矛盾こそ、ゴルファーのリアルな心理。
理屈ではわかっていても、心が求めてしまう。

そして、もうひとつ面白いのが脳の錯覚です。
新しいクラブでナイスショットが出ると、前のクラブより初速が速く感じることがあります。
実際には数値上ほとんど変わらなくても、
「新しい=良い」「最新=進化している」という先入観が、脳に快感として刷り込まれるんですね。
つまり、性能ではなく気持ちの勢いが初速を上げているように感じてしまう。

人間って、ほんと不思議です。
そういう心理も含めて、ゴルフクラブの魅力なんだと思います。

だからこそ、メーカーにはもっと正直で根拠ある情報を出してほしい。
そしてユーザー側も、数字だけでなく、自分の感覚も冷静に見つめる力を持つことが大切です。

もう一つ、見極めを難しくしているのが忖度構造
youtuberやクラブフィッターさんも、契約プロも、結局は案件で動いています。
もちろん、それが仕事だから悪いわけではありません。
でも、その結果。本音が表に出てこない。

「本当に変わったのか」「実際に違うのか」
誰もズバッと正直に言わない。
だから、無知な人ほど広告やレビューを鵜呑みにしてしまう。
そこに、今のゴルフギア業界の情報の歪みがあるように思います。

ほんと、なんとかしてほしいですよね。
ユーザーが正しく選べる環境を、業界全体で作っていくべき時期にきていると思います。

ゴルフ道具の世界は、ある意味欲との戦いです。
飛ばしたい、曲げたくない、簡単に上達したい。
そんな気持ちにつけこんで、テクノロジーっぽい言葉を並べるメーカーも少なくありません。
もちろん商売ですから、それ自体を悪いとは言いません。
ただ、ユーザーを納得させるには、もっと根拠あるデータ透明性のある説明が必要だと思います。

たとえば——

「AIによる解析結果の視覚化(どこに効果があったのかのグラフなど)」を公開してほしい。
「10%アップ」というなら、第三者機関による測定データを開示してほしい。

こうした情報開示が進めば、ユーザーも納得して買えるし、
メーカーに対する信頼も確実に上がるはずです。

クラブを買うときは、慌てずに、ゆっくり考えましょう。
流行のコピーよりも、自分のスイングと実測データを信じること。
「このクラブが合うのか?」を判断するのは、あなた自身です。

そして私はこれからも、誰も切り込まないこの分野で、
言葉のマジックにメスを入れていきたいと思います。

※この記事は特定のメーカーや個人を批判するものではありません。
あくまで一人のゴルファーとして、感じたこと・考えたことを率直に書いています。

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